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絶体絶命!日本国憲法

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2004年 05月 18日

利息制限法を護った最高裁判所

これまで,貸金業法43条を主張する貸金業者と同法の適用を否定し利息制限法に基づく制限利息(年利15%~20%)の範囲内での残債務の算出を求めた債務者との間で,貸金業法43条の解釈について熾烈に争われてきた。これまでの判決は,貸金業者が法が要求している書面を交付していない(記載事項が欠けている。不明確である。)ことを理由に貸金業法43条の適用を否定してきたが,業者も次第に書面を整え,サラクレ被害の実態を理解しない裁判官のもとで貸金業法43条の適用を勝ち取る貸金業者も少ないながら表れてきた。その一つが商工ファンド(SFCG)であった。しかし,平成16年02月20日最高裁判所第二小法廷判決は,
貸金業法43条の解釈は厳格にすべきとの立場を確認し,

1 貸金業者との間の金銭消費貸借上の約定に基づく天引利息については,貸金業法43条1項の適用はない
2 貸金業法43条1項の適用要件である債務者に交付すべき同法17条1項に規定する書面に該当するためには,当該書面に同項所定の事項のすべてが記載されていなければならない
3 貸金業法43条1項の適用要件である同法18条1項所定の事項を記載した書面の債務者に対する交付は,弁済の直後にしなければならない

と判示して,商工ファンドに貸金業法43条の適用を肯定した高裁判決を破棄した。
更に注目すべきは,裁判長である滝井繁男裁判官は,補足意見で,利息制限法を超える約定利息の支払いを滞った場合には,残金を遅延損害金を付して一括で支払わなければならないとの約定「期限の利益喪失約款」のもとでの弁済は任意とはいえないとした点である。この論法で行けば,日本中のサラ金業者は100%この約定利息支払遅滞の場合の期限の利益喪失約款をつけている。全てのサラ金業者の貸付への支払には全て任意性がないと容易に判断されることになるのである。今後はこの補足意見を判決そのものにしていく必要がある(既に下級審レベルでは同旨の判決が出ている。)。

by notarmirude | 2004-05-18 21:34 | 消費者問題


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