2004年 10月 29日
天皇陛下は,秋の園遊会で東京都教育委員の米長氏が,日の丸を掲げさせ君が代を歌わせるのが私の仕事と述べたのに対し,「強制にならないのが望ましい」とお答えになられたとのこと。 思想良心の自由は基本的人権のもっとも中核をしめるものである。 第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 これを侵害し,東京都では教職員に対する日の丸君が代強制と懲戒処分問題がおこっている。 米長氏の発言は,思想良心の自由を全く理解していない前近代的・前憲法的なものである。このような恥ずべき発言を,天皇陛下にすること自体無礼である。人権感覚豊かな天皇陛下はさぞかし教育委員の人権感覚の乏しさをたしなめないといけないと感じられたのであろう。「強制にならないのが望ましい。」と。 ところが,訳が分からないのが,この天皇陛下の発言自体が憲法に違反しないか,と議論され,問題はないと閣僚が述べていることである。天皇の国政に関する無権能を取り上げているのであろう。普段憲法を軽視している連中に限り,自分の気に入らないことがあると急に憲法を持ち出すのは滑稽である(汚職政治家がプライバシー権を声高に述べるなど)。 第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。 二 国会を召集すること。 三 衆議院を解散すること。 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。 七 栄典を授与すること。 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。 九 外国の大使及び公使を接受すること。 十 儀式を行ふこと。 しかし,そもそも拒否する教職員に懲戒処分を背景に思想良心の自由を侵害していることが問題なのである。憲法尊重擁護義務を負う天皇がこれを慮ることは当然である。 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 むしろ教育委員が,ためらいもなく天皇陛下に対し,人権弾圧を誇るかのごとき発言をしたことに,さぞかし天皇陛下は嫌悪感を覚えたのであろう。健全な人権感覚からして,教育委員の発言は信じがたい。しかし,天皇陛下は自らのお立場を考えて,きわめて慎重・抑制的に「強制にならないのが望ましい」と述べられたのであろう。 陛下の米長玉に対する見事な「寄せ」であった。お見事!
by notarmirude
| 2004-10-29 20:45
| 日本国憲法
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